- 膝前面の痛み(ジャンプ・プリエ・着地時)
- 膝外側の痛み(腸脛靭帯ライン)
- 膝内側の痛み(鵞足部・内側支持機構)
- 膝裏の張り・違和感
- プリエでの引っかかり感
- 伸ばしきれない
- 膝蓋骨周囲の違和感
- 膝の腫れ・熱感(急性期)
- 抜けそうな感覚
- 変形性膝関節症
少し専門的な内容も含まれますが、膝症状の背景理解として参考にしてください。
▼ 疫学(発生率)
研究報告では、
ダンサーにおける膝障害は足部・足関節に次いで頻度が高い部位とされています。
➤バレエにおける筋骨格系損傷の発生率と有病率:系統的レビュー
特に、
・ジャンプ動作
・プリエの繰り返し
・ターンアウト維持
が関係すると報告されています。
また、ダンサー傷害の多くは
急性外傷よりもオーバーユース障害が主体です。
つまり、
膝の症状は「突然壊れる」というより、
少しずつ積み重なって出るケースが多いという特徴があります。
症状が起きている原因
膝は単独で壊れることは少なく、
股関節・足関節の影響を強く受けます。
主に次の3方向から考えられます。
A|関節可動域要因
関節可動域制限(動かしづらさ)は、力の逃げ場を失わせます。
例)
- 足関節の可動域制限
→ 荷重の分散ができない
→ 外ももが張りやすい - 股関節の外旋制限(内巻き)
→ 膝内側ストレス増加
→内側側副靭帯損傷
B|筋機能要因
筋肉は「出力」だけでなく「制動」も担当します。
軸を保ったり、膝を伸ばし切ったままにするなど、
使う筋肉と同時に、保つ筋肉も大事です。
例)
- 内転筋の筋出力低下
→ 軸の不安定感
→ 骨盤の倒れ、肋骨の開き - ハムストリング機能低下
→ 前十字靭帯ストレス増加
C|運動連鎖破綻
騙し騙し動き続け、代償動作が定着すると、
神経系が書き換わります。
例)
- 股関節で支えられない
→ 膝で吸収
→ 膝周囲過負荷 - プリエが浅くなる
→ 着地衝撃吸収低下
→ 関節ストレス増大
これを続けると、他の関節・筋肉の症状もでてきます。
続けると何が起こるか?
多くの場合、次の経過を辿ります。

ダンサーは特に、
「痛みがあっても動ける」期間が長く、慢性化しやすい
という特徴があるとの研究報告もあります。
改善に必要な要素
炎症の治療
急性・慢性問わず炎症を取り除くことが最優先です。
膝は筋肉の炎症(筋膜炎、肉離れなど)だけでなく、
関節内部での炎症が多く、ケガにしていない部位まで波及していることもあります。
(前・後十字靭帯、内・外半月板、関節包、など)
股関節の影響
股関節からの影響を多大に受けています。
患部の治療と共に、股関節のポジショニングを正していくと、
膝の負担軽減につながります。
正しい身体操作
動作再教育(正しい動かし方)をすることで、
再発のリスクを減らします。
クラシックバレエでは何をするにもプリエを。
新体操では大ジャンプなど、
競技特性を踏まえた再学習が重要です。
当院ができること
できること
- 急性期・慢性期の治療
- 各関節の可動域評価
- 動作分析
- 競技特性によっての復帰までの過程と判断
- テーピングなどによる復帰支援
- 改善後、動作の再教育
- 重篤疾患かどうかの判断
- 専門医への紹介
やらないこと・できないこと
- 骨折の治療
- 靭帯完全断裂の外科治療
- 全身性疾患由来の膝症状
- 膝だけへの対症療法
- 電気治療のみ
マッサージのみ
膝障害は関節単体ではなく、
股関節機能× 足部機能
× 動作パターン
× 練習負荷量
で決まることがほとんどです。
そのため、
解剖学
運動学
理学療法
競技理解
この4つが揃って、
はじめて再発予防まで到達します。
膝の違和感は、
「まだ踊れるから大丈夫」
の段階で介入するほど、回復は早くなります。
